土産ダイヤ

2015年12月17日木曜日 セントレンジ

旅行の土産としては珍しい部類に入るかと思うのですが、こんな仕事をしておりますので、こんなお土産をいただくことも、ままございます。






ご覧いただいております、お土産は、鉄道の「ダイヤ」そのものになります。

時刻表や探索ソフトから見れば、親も親、源流も源流、元祖で本家、正真正銘のオリジナルです。
しかも現場で使われていたであろうことから「プロ仕様」と言っても差し支えございません。
(ブランド押印でもあると産地証明に良いかもしれませんが、時刻表としての価値が下がるかな)

折角、こうして、実物が目の前にございますので、これを教材に後学に役立ててみようか、というのが今回の試みです。

今回、頂戴したのは「伊豆土産」、伊豆箱根鉄道さんの駿豆本線(すんずほんせん)のダイヤになります。
記載から「平成5年の春改正」のもののようですが、印刷物のようですので、オリジナルのコピーが駅や部署ごとに配布されていたものなのでしょうか?それともお土産として販売するにあたって重版がかかったのか。

折角もってきてもらったお土産の値段を伺うのは、失礼になってしまうので聞きづらいのですが、モノがモノなので尋ねてみると300円くらいだったそうです。

縦軸を経路(始発駅、経由駅、終着駅)、横軸を時間(始発5時~最終24時)に切って、その世界を運行する全系統を駅や時刻でプロットして線で繋いでいくので、非常に横長な構成になるのは皆様ご想像の通りかと思われます。

縦横比に合わせて、12時間ずつ2段構成にして詰め込んでありますが、それでも「巻物状」な形状になっております。

広げて見るとこんな感じ、ご家族みんなで図面を肴に盛り上がれるかもしれません。
でも「紙」ですので、飲み物はこぼさないように注意。




会議形式でゆくならば、やはりホワイトボードです。
椅子から立ち上がって、活発な発言がやり取りされる様が目に浮かぶようです。
勢い余って、マーカーで本紙に書き込んではいけません。


一人、じっくり眺めたいなら、このような自習スペース的な構成もアリかもしれません。
行き交うダイヤをなぞっては静かに伊豆に思いをはせるわけです。
それにしても、「三島xxx」という駅が多い。


こうしてみると、「オブジェクト」としても非常に高いポテンシャルを秘めているような気がしてきました。ためしに掛け軸にみたてて入口の欄間に飾ってみましょう。


うーん、マグネットではなく、額縁なんかに入れれば、そこそこイケてるんじゃないかと。

ダイヤをデータ化している仕事を生業にしている視点から申し上げれば、こちらのダイヤには、八代くらいの家系図に負けない「情報量」が詰まっておりますし。

そろそろ中身の話に移りましょう。
横軸には、乗継路線である「新幹線」「東海道本線」との対比等もあり面白いのですが、其れにも増して「縦軸」が実に充実しております


  • 駅名
  • 運転時分(普通、特急、快速のそれぞれの運転間隔)
  • 最高速度(km/h)
  • 累計キロ程(km)
  • 区間キロ程(km)
  • 標準勾配(‰)


末端に移って、

  • 指導票種類(1,2,3、各区間の種別は擦れ違いのためか)
  • 閉塞方式(すべて自動閉塞式)
  • 線路種別
と、パッと見でもこれだけのカラムが詰め込まれております。
探索ソフトでは、駅間の所要時間は、この系統は何分何秒というくらいでまとめてしまいますが、
各区間の「速度」「勾配」まであるのは、流石、現場の運転手さんが使う資料です。


略号のようなものも使われていて、このような記号で、各駅の停車時間を表現しているようです。



また、ところどころに見える、一際太線のダイヤは「特急踊り子号」のようです。
系統と系統を結ぶ横線は、「折り返し」を示すものでしょうか。
「曜日運行記号」のようなものも読み取れます。
線の上の「X印」や、線の先の「矢印」上の記法も何か意味が込められているのでしょうか。

さらに、現場でどのような使われ方をされていたのかも気になります。
駅員さんが案内に使っていたものか、運転手さんが今日自分が運転する車両の確認につかっていたものか、はたまた、指令が列車に遅れが出た場合のダイヤ調整を赤字で書きこんでゆくのに使っていたものか。

ダイヤはその精度の細かさゆえ、探索ソフトや時刻表のように、世の中に広く出回って利用されているものではありません。
また「毎日安全運行」という、本来の視点に立ち戻れば、この一本一本の線に対してあまり多くのコストを避けるわけではないはずです。
それはさておき、このレベルの情報を、この一枚に閉じ込めた資料には、模型のような「完成品」としての魅力を感じます。

何かうまい展示方法はないものかと考えてしまうのですが、今回はこのへんで。